本サイト「なにを読むべきか.com」(https://naniyomu.com/)は、新サイト「新・なにを読むべきか.com」(https://naniwoyomu.com/)に移行を予定してます。 よって、本サイトの更新は停止します。新サイトを更新して行きますのでよろしくお願いします。 なお、手動で移行するので相当長い期間かかると思います。

『対話 日本および日本人の課題』渡部昇一・西尾幹二(ビジネス社)

『対話 日本および日本人の課題』渡部昇一・西尾幹二(ビジネス社)

単行本ソフトカバー

2018年
292頁





目次(収録作品)()内は初出。

第1章 敗北史観に陥った言論界(『WiLL』2009年5月号)
第2章 自由で教育は救えるか(『知識』1991年4月号)
第3章 ドイツの戦後と日本の戦後(『諸君!』1990年11月号)
第4章 国賊たちの「戦後補償」論(『Voice』1994年1月号)
第5章 日本は世界に大東亜戦争の大義を説け(「渡部昇一の新世紀歓談」テレビ東京、1995年5月21日放送)
第6章 教科書をモミクチャにしたA級戦犯たち(『諸君!』1997年11月号)
第7章 「朝日」「外務省」が曝け出した奴隷の精神(『諸君!』2001年5月号)
第8章 人権擁護法が日本を滅ぼす(「渡部昇一の大道無門」日本文化チャンネル桜、2005年6月15日放送)

解説 西尾幹二
回想・父 渡部昇一 早藤眞子(渡部昇一長女)


保守の二大巨頭の対談集。両者の対談のほぼ全てが本書に収められている。(ほかには、NHK教育テレビでの対談「マンガは是か非か」だけ)

内容は目次からだいたい分かるだろう。
よい部分も散見されるが、全体としては、いま一つの本。
両者の本をいくつか読んだり、動画を見ている者にとっては目新しいものはあまりない。
また、前提の知識がないとよく分からない所が多い。平均的な高校生(たぶん大学生も)が本書を読んでも(難解だからではなく)説明不足でなんだか分からないと思う。(また分かる人は本書を読んでも得る所がない(少ない)ということになる)
たとえば「半藤一利、保坂正康、五百旗頭真」を批判しているが、本書には理由は書いてない。
「トータルウォー」(p.82)(国家総力戦)とか渡部が言い出し、広めた「東京裁判史観」とかも。
国民徴用令とコリアンの「強制連行」の件(p.149)とかも本書の説明ではよく分からないだろう。(法律の定義の「徴用」をしっかり丁寧に説明しないと分からない)

「近隣諸国条項」(「近隣のアジア諸国との間の近現代史の歴史的事象の取り扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていること」)(p.171)
のように説明されているところもあるが、上に挙げた以外にも説明不足の箇所が多い。

丁寧な注を施すのがよいのだろうが、そんなコストはかけられないのだろうか。

巻末に西尾のけっこうな分量(53ページ)の解説があるが、本書からの引用が多く重複して読まされるばかりであまりよいものではない。ただ、p.277~の「アメリカは「中世」そのものだ」と考察した件は、アメリカを考える上で重要で読む価値がある部分である。

驚きの、そして見過ごすことのできない情報があった。

(p.164~)

渡部 これは私と関西大学の谷沢永一教授の対談をまとめた『こんな「歴史」に誰がした』(クレスト社刊)で詳しく述べましたが、大阪市同和教育協議会と大阪府同和教育研究協議会というところでは『1997年度用 中学校教科書検討資料』というB5判203頁にもおよぶ文書をつくっています。そこには「検討の視点」と題して、「記紀の内容が、皇室中心の物語として改作されたことが明記されているか。」、「日本の朝鮮侵略政策の流れが、途切れなく記述されているか。(強制連行まで)」、「15年戦争が侵略戦争として位置づけられる内容で明記されているか。とくに南京大虐殺について記述があるか。」、「戦争責任に対する補償の問題が政府の課題として今なお残されている事が記述されているか。」等々が記されています。

さらにこの視点に基づいて中学社会科の新しい教科書すべての記述をチェックし、採点と考察が加えられている。

教科書会社が自社の教科書を売ろうと思えば、このガイドラインに合わせるにこしたことはない。実際に中学の歴史教科書はこの基準にそった記述になっているものもあります。

それから、渡部昇一が思い起こされる長女の文章の引用部分がよい。

(p.291)

父は、確かに日本の将来を想い、憂国の情に囚われた日もあったと思います。ですが、やはり「憂国の士」と呼ぶよりは、「愛国者」と呼ぶ方が何倍も相応しい人でした。それほど深く日本を愛して止まぬ人でした。「日本の底力」と明るい未来を信じて、この時代に日本に生を受けたことを喜び、感謝して、人生を愉快に楽しんで歩んだと思います。不機嫌や気難しさからは遠く、明朗でありました。
読むことも書くことも、話すことも耳を傾けることも、食べることも散歩することも、歌うことも眠ることも、そして何より、仕事が大好きでありました。(略)



以下、筆者注。

(p.127)ほかに、ヘレン・ミラーズ『アメリカの鑑・日本』とあるが、書名は『アメリカの鏡・日本』

(p.192)

渡部 映画「ラストエンペラー」がつくられたとき、(筆者注:溥儀の家庭教師だったジョンストンの『紫禁城の黄昏』が)岩波文庫から翻訳が出たんですが、意図的にでしょうが、日本に有利な一章から十章全部と、満洲国に貢献した人名が出てくるところを虫が喰ったようにカットした非良心的な版でしかなったんです。だから、私の知人がいま完訳しようと作業しているところです。

この本については、下記を参照。

[参考]
『こんな「歴史」に誰がした―日本史教科書を総点検する』渡部昇一・谷沢永一(2000・文春文庫)
amazon

『完訳 紫禁城の黄昏』R. F.ジョンストン(祥伝社黄金文庫)

スポンサーリンク
   

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする