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『国家の品格』藤原正彦(新潮新書)

『国家の品格』藤原正彦(新潮新書)

2005年11月20日初版発行
191頁




著者は、数学者・エッセイスト。

200万部を超えるベストセラー。
講演記録をもとに書かれた本。

日本伝統の情緒や形は、世界に誇るべきものであるが、今やこれらは全く弱ってしまった。我が国はこれらを取り戻さなくてはならない、といういうのが主旨。

看板に偽りありの本。「国家の品格」については、すこししか書かれていない。本書を読んで、なるほど国家の品格とはこういうことか、と納得する人はいないと思う。想像だが、もとの講演のタイトルは「国家の品格」ではなかったのではなかろうか。(調べても分からなかった)

雑駁、表面的、ざっくりとした語り口なので、主張や論が正しいかどうかではなく、弱く散漫である。
日本伝統の情緒や形が大事だというなら、それらはどういったものなのか、日本の文化のどういった所に表れているのか、どう優れているのかを分析したり、具体的に語るべきなのに、そういうところはあまりない。(「惻隠」も重要だと言っているがそれについても同様。)

ただ、内容として悪くはない。
「論理で世の中はよくならない」「小学校からの英語教育に反対」「自由はフィクションである」「真のエリートを養成する必要がある」「我が国の田園や自然を守らなければならない」等の主張には、すべて賛同する。

なので、「国家の品格」というには落第だが、一読してもよい本。高校生くらいのひとにも。

[筆者注]
著者は「ナショナリズム」を「自国の国益のみを追究するという、あさましい思想」「不潔な考え」(p.113)と言って、ナショナリズム=悪のように認識しているようだが、それはおかしい。「ナショナリズム」は、定義によっていろいろ幅がある言葉だが、そのようなものではない。(ナショナリズム=国粋主義、超国家主義と勘違いしているのか?)

ナショナリズム【nationalism】
国家や民族の統一・独立・繁栄を目ざす思想や運動。

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