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『萬葉集釋注10 巻第十九・巻第二十』伊藤博(集英社文庫)

『萬葉集釋注十 巻第十九・巻第二十』伊藤博(いとう・はく)(集英社文庫ヘリテージシリーズ)全10巻

2005年12月21日初版発行
894頁(本文791頁・注・解説・エッセイ)




収録作品(目次)

万葉集 巻第十七(4139~4292)
万葉集 巻第十八(4293~4516)

解説 万葉集解説十(三田誠司)
萬葉三感―私の愛する万葉集(辻原登)


万葉集のすべての歌を訳し、それぞれの歌について解説をした本。
筆者の知る限り本書のような書籍はこれのみである。
全訳されたものは、ほかに『新版 万葉集 現代語訳付き』伊藤博(全4巻)と『万葉集 全訳注原文付』中西進(全4巻+別巻1)とがあるがそれらには、解説・評釈はない。

「これまでの万葉集の注釈書は、一首ごとに注解を加えることが一般的であった。だが、万葉歌には、前後の歌とともに歌群として味わうことによって、はじめて真価を表わす場合が少なくない」(本書p.3)との考えから注釈されている。

端正で達意の文章が心地よい。

注釈書は見開きページの上や下の何分の一を区切って、そこに小さい文字がびっしりと並んでいるものも珍しくないが、本書は注はうしろにまとめて、本文の文字は大きく行間は広く、読みやすい素晴らしい構成である。ページの下部隅に歌番号が付されているので番号が分かれば、目当ての歌を楽に探し出せるのも便利。

それから、第1巻から順に読まなくとも各巻単体でも分かるように配慮されているのもよい。

大部の本で読み通すのに時間がかかるが、万葉集のすべての歌を知りたい人には本書が最良である。
当然、研究する人は必読必携。

p.382

秋されば 霧立ちわたる 天の川 石並置かば 継ぎて見むかも(4310)

秋になると霧が一面に立ちこめる天の川、ここにこっそり飛び石を置いたなら、毎夜毎夜続けて逢えるだろうか。(p.385)

大伴家持の七夕の歌。霧が立った天の川に石を置くという発想が面白い。

p.442

道の辺の 茨の末に 延ほ豆の からまる君を はかれか行かむ(4352)
(みちのへの うまらのうれに はほまめの からまるきみを はかれかゆかむ)

道端の茨(いばら)の枝先まで延う豆蔓のように、からまりつく君、そんな君を残して別れて行かねばならないのか。(p.449)

「君」をいかに解するかで、一首の風味が違ってくる。一般に妻をさすとされ……しかし、集中、「君」は男性や主君をさすのが習い。……佐伯梅友『奈良時代の国語』には「……自分でなければ夜も日もあけないというようになついている主家の若君などをさすと、考えるべきではなかろうか」とある。この説によるのが無難であろう。

若君と考えた方が愛らしい情景が浮かびよい。

[関連]
『萬葉集釋注十 巻第十九・巻第二十』伊藤博(1998・集英社)単行本

[参考]
『新版 万葉集 現代語訳付き』伊藤博(全4巻)

『万葉集 全訳注原文付』中西進(全4巻+別巻1)

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