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『萬葉集釋注3 巻第五・巻第六』伊藤博(集英社文庫)

『萬葉集釋注三 巻第五・巻第六』伊藤博(いとう・はく)(集英社文庫ヘリテージシリーズ)全10巻

2005年9月21日初版発行
551頁(本文483頁・注・解説・エッセイ)




収録作品(目次)

万葉集 巻第五(793~906)
万葉集 巻第六(907~1067)

解説 万葉集解説三(三田誠司)
紀州と万葉―私の愛する万葉集(道浦母都子)


万葉集のすべての歌を訳し、それぞれの歌について解説をした本。
筆者の知る限り本書のような書籍はこれのみである。
全訳されたものは、ほかに『新版 万葉集 現代語訳付き』伊藤博(全4巻)と『万葉集 全訳注原文付』中西進(全4巻+別巻1)とがあるがそれらには、解説・評釈はない。

「これまでの万葉集の注釈書は、一首ごとに注解を加えることが一般的であった。だが、万葉歌には、前後の歌とともに歌群として味わうことによって、はじめて真価を表わす場合が少なくない」(本書p.3)との考えから注釈されている。

端正で達意の文章が心地よい。

注釈書は見開きページの上や下の何分の一を区切って、そこに小さい文字がびっしりと並んでいるものも珍しくないが、本書は注はうしろにまとめて、本文の文字は大きく行間は広く、読みやすい素晴らしい構成である。ページの下部隅に歌番号が付されているので番号が分かれば、目当ての歌を楽に探し出せるのも便利。

それから、第1巻から順に読まなくとも各巻単体でも分かるように配慮されているのもよい。

大部の本で読み通すのに時間がかかるが、万葉集のすべての歌を知りたい人には本書が最良である。
当然、研究する人は必読必携。

表紙の梅の絵(安田靫彦)が美しい第3巻。巻第五の「梅花の歌」の序(p.73)が、新元号の令和の出典なのでよけいによい表紙に感じる。

山上憶良の有名な「子等を思ふ歌」(p.45)、「貧窮問答の歌」(p.172)、「沈痾自愛文」(p.191)が特によい。

[関連]
『萬葉集釋注三 巻第五・巻第六』伊藤博(1996・集英社)単行本

[参考]
『新版 万葉集 現代語訳付き』伊藤博(全4巻)

『万葉集 全訳注原文付』中西進(全4巻+別巻1)

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